おっぱいを見くびるな!
気が付くと僕は松井先輩を引っ叩いていた。
次の瞬間、バンという大きな音とともに乙女クラブの扉が開いた。
視線を向けると、そこに立っていたのは、
「あんた達!こいつらやっちゃいなさい!」そう叫ぶ松井先輩に親衛隊は言った。
「松井さん、扉の前で一部始終聞いてました。」
その言葉を聞いた瞬間 松井先輩は親衛隊から顔を背けた。
それを見た親衛隊の一人が気まずそうに言う。
乙女クラブの核となる鉄の掟、乙女クラブ十ヶ条。
違反者にはペナルティが科せられることで有名だ。
もちろん上の立場なら尚更、、、
部屋中に重い空気が張り詰める。
しばらくして、松井先輩は溜め息交じりに呟いた。
「カリスマなんて言われるうちに、私自身どっかで背伸びしていたのかもしれないわね、、、」
「そんなことありません!松井さんは死ぬまでうちらのカリスマです!」
涙ながらに親衛隊が口を揃えて言う。
その様子を見た松井先輩は、瞳を潤ませながら天井を見上げて言った。
「私は今日で引退するわ。あなた達へ最後のお願いがあるの。後任は2年の赤木に乙女クラブの運営を一任する。記者会見は開かない。学園新聞記者と校長、そして町内会長へこのことを伝えてくれる?」
「承知しました。松井さんが引退する以上、仕えてた自分達も引退するのが筋。最後の指令責任をもって全うします。」
「、、、ありがとう」
「こちらこそ、長きにわたり乙女クラブを引率して頂き、ありがとうございました。」
一連のやり取りを終え、親衛隊は最後の指令を全うするため部屋を出た。
部屋に残ってる僕達を見ながら松井先輩は悔しそうに言った。
「まさかあなた達みたいな、下品なおっぱい星人に部長の座を降ろされるとはね。」
それを聞いた池下先輩は真顔で答える。
「それは違うぞ松井、全てはお前の欺瞞が原因だ!少しくらいなら盛ってもバレない、そんなお前の考えが招いた結果だ!」
「ウッ、、、」
うつむきながら言葉に詰まる松井先輩を哀れんだ僕は、慰めの言葉をかけた。
「松井先輩、巨乳は垂れるけど貧乳は垂れません。重要なのは形と比率で健康的なおっぱいが一番なんです。巨乳が良いと思ってる奴らはおっぱいの素人達です。」
「そうだぞ松井、健康的なおっぱいはそれだけで美しい。おっぱいソムリエの俺たちに、お前の、ありのままのおっぱいを見せてくれないか?しっかり診断したいんだ!」
「池下先輩の言う通り、松井先輩の貧乳を我々にしっかり診断させてください!具体的な対策ができるはずです」
「松井よ、見栄張って胸パッド入れた結果、条例違反で部長の座を降ろされる、こんな恥ずかしい経験ないぞ!おっぱいソムリエの俺たちが相談に乗るんだ、早く生おっぱいを見せてくれ!」
この日僕らは地獄をみた。
それから一週間後、池下先輩は数々の盗撮やセクハラがバレて学校を退学することとなる。
リークしたのは恐らく松井先輩か、その周りの関係者と思われる。
僕はというと、おっぱい手帳が僕のものだと学校中にバレ、全女子から軽蔑の眼差しで見られることとなる。
そのため僕はすぐに頭を丸め、反省してますアピールをした。
もちろん反省なんかしてないので、女子とすれ違う時は相変わらずおっぱいばかりを見ていた。
この軽率な行動がさらに女子達を不快にさせたらしく、僕の評価は下がるいっぽうだった。
そして月日は流れ
それから二年後、、、
拝啓 池下先輩へ
俺、先輩と出会ってからずーっと、おっぱいばかり見ています。
今でもずっと、そしてこれからも、、、。
敬具
おしまい