この言葉が三歩進む度に僕の口から自然と出てくる。
なぜなら卍須加学園へ近づくに連れ、空気が重くなってくる感覚を僕は直接肌で感じているからだ。
登校しようとするだけでこんなに圧があるなんて、、、まるで僕の登校を拒んでいるかのようだ。
そんなことを考えていた僕の前に見覚えのある顔が現れた。
ハルマ:よーイチロー!ファミレスジョースター以来だな。
僕:あぁ!そ、そんなことより顔色わるいぜ大丈夫か?
ハ:気にするな。卍須加学園に近づくに連れて空気が重くなってる気がしただけだ。ここら辺はいつもこんな空気なのか?
僕:いや俺、学校来るの今日が初めてなんだよね!
ハ:マジで?なんだよ一緒じゃん!、、、それにしても、ここら辺の空気なんか重いな。
僕: あぁ 実は俺も感じていたんだよね。まぁ、いざとなったら無敵のスタープラチナ出すから安心しな!
ハ:ふっ頼もしい限りだぜ!!
卍須加学園の正門まであと少し。
僕はハルマと他愛もない会話をしたことで、今までの変な圧が少し和らいだ気がした。
しかしその考えは卍須加学園の正門を前にして、一瞬にして消え去る。
なぜ?と聞かれても答えようのない嫌な雰囲気が僕らを包み込む。
すかさず僕の口からお馴染みのフレーズが飛び出す。
ふ~、やれやれだぜ💦
ここへきて本日100回目の記念すべき やれやれだぜ発言。
横にいるハルマは冷静を装いながら左ポケットから正露丸を取り出し、それをかじりながら気を紛らわしていた。
中に入るのを一瞬 躊躇った僕は、ハルマの顔色を伺う。
それに気づいたハルマはポツリと呟いた。
「卍須加の黒柳って奴にナメた噂流されてる、ここで引き返すくらいなら初めっからこんな格好してねぇよ!」
何があったのかは知らないが、まるで自分を鼓舞するかのような発言だ。
さらにハルマは続ける。
「忠実に再現する、そのキャラになりきる、両方やらなくっちゃあ ならないってのがゴールドコスプレイヤーのつらいとこだな、、、」
そう言うとハルマは正露丸臭い口で僕に聞いた。
「覚悟はいいか?俺はできている!」
まるでブチャラティが言いそうなセリフだ。しかし今はそんなことどうでもいい。
なぜならハルマの顔からは覚悟が感じられたからだ。
しかしそれは僕だって同じこと!
ウリリンの仇をとるまでは引き返すことは出来ない!
腹を括った僕はハルマに本日101回目のあのフレーズを言った。
ふ~ やれやれだぜ、、、 進む以外の道はないってことだな。
そして僕らは進む、卍須加学園へと。
まるで黄金の風に後押しされるかのように、、、、。