侶布ハルマはふと思った。
卍須加学園に入学したものの未だに登校してないのは自分だけなんじゃないのか?と。
そんなことを考えながら歩いてると見知らぬ少年がハルマに声を掛けてきた。
す、すいません!クローズの主人公、坊屋春道さんですよね?一緒に写真撮ってください!
~ハルマ心の声~
チッまたかよ!
漫画の主人公がそこら辺歩いてるわけねーだろ!
どう考えてもバカだろこいつ!!
ネタとして言ってんなら寒すぎ!
マジで言ってんなら頭弱すぎ!
女の子じゃないし、とりあえず断っておくか。
写真はちょっと!そう言うとハルマはそそくさと少年のもとから去って行った。
それから10秒後、ハルマの前に二人の少年が現れた。
二人組の少年はハルマを見るなり大きな声で話し始める。
あれ坊屋春道じゃない?
本当だ!クローズの主人公じゃん!
声かけてみようぜ!
少年達の話し声を聞いたハルマは面倒くさそうに舌打ちする。
そんなハルマを尻目に少年達が声を掛けてきた。
ねぇクローズの坊屋春道でしょ?
一緒に写真撮ってよ!
無礼な態度に不快感を感じながらハルマは答えた。
断る!!タメグチやめろ!!
すると少年達の態度は急変する。
少年1:こいつ生意気だな!
少年2:あぁ、黒柳パイセンのパシリのくせして調子乗ってるな!
ハルマ:、、、黒柳?
少年1:とぼけんなよパシリ!
少年2:とりあえず裏来いよ!
少年1:黒柳パイセンは俺達の中学の先輩で卍須加学園を仕切ってる総長です。
少年2:最近、地獄山町にクローズの主人公っぽい人がいるって話を黒柳パイセンにしたら、アイツは本物の坊屋春道で俺のパシリだよ!って言うから皆信じちゃって、、、。
ハルマ: ちょっと待て!皆ってどれくらいだよ?
少年2:ここら辺の中学生ほとんどです。
少年1:黒柳パイセンが春道は俺のパシリだからお前らのパシリみたいなもんだ!勝手に写真撮ってインスタあげていいよ!って言うから、、
少年2:インスタ映え狙ってるヤンキーに俺らが言いふらしてたら噂が勝手に広まって、、。
ハルマ: 、、ていうか噂広めてんのお前らじゃん、、、。 、、、なんとなく分かったからお前らもう帰っていいよ。二度と変な噂流すなよ。
少年達は半ベソになりながらハルマのもとを去って行った。
その様子を見ながらハルマは本気で頭を抱えた。
そもそも漫画の主人公がリアルに存在するわけないし、自分の知ってる人のパシリだからって自分のパシリになるわけではない。しかも勝手に盗撮して、それを当たり前のようにインスタに載せていいわけがない。どんなに頭の悪い奴でも普通に分かるレベルのこと、、、。
流石は大〇区の地獄山、想像以上の民度の低さだ。
そして一番気になったのは黒柳の存在。
ハルマにとって全く身に覚えのない人物だ。
いくら考えても思い当たる節が無いハルマは自然とムシャクシャしてきた。
そんなハルマにまた違った少年が声を掛けてきた。
クローズの坊屋春道さんですよね?写真お願いします!
いや、もういいよ!と漫才だったら突っ込んで終わるレベルのタイミングである。
しかしハルマは芸人ではない。
今までのこともあり腹の立っていたハルマは、とりあえず少年に八つ当たりした。
俺に話しかけるな!漫画の主人公?いるわけねーだろ!お前みたいな奴らを相手して俺は未だに学校行けてない!イケてない奴らは相手しないからあえて見ない!俺の前からさっさと消えとけゴミ野郎!
写真お願いしただけなのに何でそんなキレられなきゃいけないの?って顔しながら去っていく少年。
見知らぬ少年をディスって憂さ晴らししたハルマは、黒柳という人物に真相を確かめるべく、早急に卍須加学園へと向かった。