門番である下臭先輩にバッチを見せた僕らは、イチモツの門の隣にある小さな門から構内に入ることを許された。
構内は僕が思っていた程殺伐とした雰囲気では無く至って普通だった。
入学式や始業式に出ていない僕らは、自分達のクラスがどこなのかを知る為に職員室へ向かおうとした。その時、ハルマが誰かに呼び止められた。
後ろを振り向くと、
どうやらハルマの先輩らしい。
僕はハルマの先輩を見るなりすかさずハルマの耳元で囁いた。
「絶対ドラゴンボールのナッパとベジータ意識してるじゃん!」と。
するとハルマが青ざめた顔で言う。
「マジでそれ禁句な!二人共漫画とアニメ嫌いだから!」
それを聞いた僕は言葉を失った。
漫画とアニメ嫌いで、あの見た目でタッパとベジ太て、、、
まるで熱湯風呂の前で “ 絶対押すなよ!”と言いながら必死に押されるのを待っている ダチョウ俱楽部を見ているかのような歯がゆさを僕は覚えた。
「何コソコソ話してんだよ?」そう言いながら二人は近づいてきた。
隣にいるハルマの緊張が僕にも十分伝わってくる。いったい彼らと過去に何があったというのだろう?
ハルマ:お久しぶりです先輩方!
タッパ:フフッまさかお前が卍須加に来るとはな、驚きだぜ!なぁベジ太?
ベジ太:フン!くだらん!おいハルマ!貴様も卍須加に入ったからにはナメられるんじゃないぞ!
ハルマ:おっ押忍!
ベジ太:それからハルマの横にいる貴様!
僕:はい!
ベジ太:なかなかセンスのある格好じゃないか!だからといってあまり調子に乗るなよ!
僕:おっ押忍!気を付けます!
制服のことを褒められた僕は嬉しくなった。どうやらハルマの先輩たちは良い人そうだ。
タッパ君やベジ太先輩に僕のことを紹介したハルマは、この学校を仕切ってると噂されている黒柳のことを聞いてみた。
すると思いもよらない言葉が返ってきた。
タッパ:黒柳だと?聞いたことないな。知ってるかベジ太?
ベジ太:フン!知らんな!おおかたどこかの雑魚が卍須加の看板使ってしゃしゃってるだけだろう!
何とも拍子抜けな答えだった。所詮は誰かが中学生相手に言った戯言、そう思ったハルマは次にウリリンのことも聞いてくれた。
もちろんハルマはウリリンを知らないので僕の友達がこの学園で殺られたという事実だけを伝えた。
すると二人は「喧嘩や殺し合いなんて、この学園じゃいつものこと!」と 当たり前のように 吐き捨てた。
どうやら僕はとんでもない学校にきてしまったようだ。
しかしウリリンの敵を討つと心に決めてる僕としては、少しでも犯人の情報が欲しい!そう思い二人にウリリンの特徴を必死に伝えて何か手掛かりは無いかと尋ねた。
もちろんドラゴンボールが大好きでいつもクリリンの真似をしていたことなど細かく話した。
するとベジ太先輩が急にニヤニヤしながらタッパ君に話しかけた。
「そういえばタッパ、この前貴様にドラゴンボールのナッパが好きなんですか?とかいう意味不明なことを聞いてきたハゲがいたな?」
それを聞いて思い出したかのようにニヤニヤしだすタッパ君。
「あぁ、そういえばいたな。意味不明な発言で俺を不快にさせてブチ殺されたチビのクソハゲが!」
ベジ太先輩は笑いながら僕らを指さしタッパ君に言った。
「はっはっはっはッ!どんな奴だったかこいつらに教えてやったらどうだ?」
調子に乗ったタッパ君は僕らをおちょくるかのようにニヤニヤと語りだす。
「そうだな~額に三連ほくろがあって、シャツの後ろにマジックで亀って書いていたあの小僧、、え~っと、クリリンに憧れてるとか謎なこと言ってた、んー確か名前はウリ、、ウリリ、、ダメだザコ過ぎて覚え
僕はキレた。
そして茶番は続く。