~これまでの流れ~
イチロー新幹線に乗る
隣の席に山本美月が座ると妄想
結果、太めのおっさん着席
二つ隣の席に吉岡里帆が座ると妄想
結果、イカ臭いおっちゃん着席
うなだれるイチロー ←今ここ
これは何かの罰ゲームなのか?
狭い座席にイカ臭い車内
控えめに言って劣悪な環境、、、
いったい僕が何をしたって言うんだ。
そんな事を考えていると、隣の席の中年と腕が当たった。
ファッ!
思わず変な声を出す僕。
なんてベタついた腕、、、まるで野獣のようだ。
本来なら美月ちゃんと腕が触れ、そこから恋に落ちる予定だったはず、、、
悔しさのあまり、僕は泣きそうになりながら唇を噛みしめた。
プシュッ!
二つ隣のおっちゃんは、ワンカップを飲み終え二本目にビールを開けていた。
チッ!
普通一杯目にビールだろ!
一杯目はビールがマナー、そう教え込まれた僕は自然と心の中で突っこんだ。
その時、
後部座席から携帯電話の着信音が鳴りだす。
チッ!
マナーモードにしとけよ!
舌打ちが止まらない。
僕は些細なことでイラつくようになっていた。
後方から電話の声が聞こえてくる。
もしもしマイプリンセス?
今そっちに向かってるから。
うん、愛してるよ!
えっ?、、、大丈夫!
だって、お姫様の為なら何だってできるから!!
マイプリンセス?
お姫様?
聞いてるこっちが恥ずかしくなるような 糖度高めの甘いセリフ。
こっちはそれどころじゃないってのに甘い会話楽しみやがって!
睨みきかせて黙らせてやる!
そう思った僕は立ち上がり後ろを振り返った。
顔面怖っ!!
会話内容と容姿のギャップが違いすぎるだろ!
あのツラでマイプリンセス?お姫様?
ないないないない!
ありえない!
僕は愕然とし、一人固まった。
それから男は15分ぐらい甘めの言葉を喋り続けた。
イカ臭さと隣席の圧、そして後方からの望まない甘い戯言。
新幹線の車内がカオスだと感じた瞬間、
僕は無になるのでした。
お終い。